寒いですが、空気が澄んで清々しい一日でした。
今回は『農作物の種』についてのお話しを・・・
「種」の世界とは全くの
『ブラックボックス』で、誰も何も知らないうちに、毎日食べている中身(味・形・品質)が変わっていっています。(もちろん現在も)
作物の種は基本的に
『固定種』と
『F1種』の2種類に分類されます。
種の概要に関しては
『以前の記事』を読んでいただくとして、まず初めに、農作物は
『種』がないと栽培できない訳です。
『固定種』は自家採取できますが
『F1種』は二世代目の種は使えません。
では
『F1種』の種ってどうやって採ってるの?
って感じですが、なんと毎回一世代目の出来の良い種を作っているのです。
しかし、種苗会社は製造過程の秘密を絶対に明かしません。
現在は海外で採取してることが多く、もしくは研究所や山の奥地でヒッソリと行われており、半径数㌔内には同じ科目の植物がないような環境で、厳重に管理されています。
風が吹いて花粉でも飛んできたら大変なことに・・・
種の生産者も何の種を育てているのかすら教えてもらえません。
F1種が開発された当初は、人間の手作業で交配されたものや、植物の
『自家不和合性』という性質を利用して交配した安全なものでした。
今現在、私達が食べている農作物の多くが、
『雄性不稔』というものです。
作物の細胞の中に花粉(精子)ができなくなる原因を持つ突然変異の個体を探して増やし、効率良く交配させてF1種を作る技術です。
増やした雄性不稔株を母親にして健康な別の品種を交配すれば、
『優性の法則』も
『雑種強勢』も自由自在。
放っておいても、望むF1品種がどんどん採種できます。
こうして、本来なら自然淘汰で消えていったはずの、無精子症の個体だけが無限に増やされ、世界中がF1種ばかりになりました。
これからは食糧問題で戦争が起こる?
種(食糧)を征するものが世界を征す。
「大地の恵みである農作物が工業製品のように均質でなければならない」
「一年中安定した量・価格で供給しなければならない」
「味なんかそこそこでいい」
「生育スピードを上げて単位面積当たりの販売額を上げたい」
「種を売って儲かりたい」
という市場の要求から、F1種・・・一代雑種は広く普及していきました。
そして、経済効率最優先の時代に必要な技術革新だったとも言えます。
しかし、生産者・消費者・種苗会社・時代・・・
全ての嗜好に合わせてきた技術にも、限界がきている感じがします。
F1種の何が問題なのでしょうか?
一般には、F1種は問題視されるどころか、品種改良の成功例、もしくは科学技術の進歩の証と考えられています。
品種改良にはもちろん多くの利点があり、私達はその恩恵を受けています。
(誠心園で栽培している野菜も殆どはF1種です)
F1種がこれほどまで拡大し、それがこの先何をもたらすかを想像したとき、この技術の不自然さを感じてしまいます。
つづく
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