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飽きっぽさは筋金入り2011年08月02日 20:49


サッカー女子ワールドカップ・ドイツ大会の日本代表なでしこジャパンの優勝により、テレビは朝から晩まで「なでしこ」の姿を追い、新聞は大きく紙面を割いてその偉業を称えています。

枝野幸男内閣官房長官は8月2日、首相官邸で行われた定例記者会見においてW杯・ドイツ大会で初優勝を果たした日本女子代表(なでしこジャパン)に国民栄誉賞を授与することを正式に発表した。同賞の受賞は19例目で、団体としては史上初となります。ドイツでの「なでしこ」たちの活躍は「多くの国民に感動と希望を与えた」とのこと。

しかし、今回の(も)国民栄誉賞授与にはあまりに政治的な臭いがプンプンと・・・
誰とは言わないが、ワールド・カップ前には一言も話題にしなかったくせに、決勝戦に政府専用機でドイツに行こうとしたりと、「なでしこジャパン」の果たした栄光を貶めそうになっていた状況に気付かない政治家もいます。
選手たちの努力とは別に、政府によるスポーツの「政治利用」は見ていてあまり気持ちの良いものではありません。

1977年、福田赳夫首相によって始められた「国民栄誉賞」は、本塁打の世界記録を樹立したばかりの王貞治氏(読売巨人)に授与したのが始まりです。

まぁ王さんの国民栄誉賞受賞に異論を差し挟む人はいないでしょう。
圧倒的な業績と国民に敬愛された人柄からも、王さんは初代の受賞者に相応しい人物です。

また、過去の受賞者の多くは死後の受賞、もしくは一定の評価の固まった人ばかりであり、無名に近い発展途上の若い選手の受賞となると、賞の性質自体が変わるのではないかという不安が芽生えます。

実際、そうした懸念に応える形で、受賞を断っている者もいる。

2001年、MLB(メジャーリーグベースボール)で、日本人初となる首位打者と盗塁王のタイトルを獲得したシアトル・マリナーズのイチロー選手は、授与の打診に対して、次のように答えて辞退している。

「国民栄誉賞をいただくことは光栄だが、まだ現役で発展途上の選手なので、もし賞をいただけるのなら現役を引退した時にいただきたい」

さらに2004年、同じくイチロー選手は、MLBシーズン最多安打記録を更新し、それに対して再度、国民栄誉賞の授与を打診されたが、同じ理由で固辞している。

辞退者はイチローだけではない。時代は遡り、阪急ブレーブスの福本豊選手も国民栄誉賞を辞退している。福本選手は世界記録となる通算939盗塁を達成し、当時の中曽根康弘首相から受賞を打診された。その際、次のように言って断ったという。

「そんなんもろたら、立ちションもでけへんようになる」


まさしく、国民栄誉賞の受賞は個人に責任が生じるものです。あの王さんですら、その責任の重さで道を歩くのにも気が滅入ったという。駐車違反など比較的軽微な法律・ルール違反が、賞自体の信頼を貶め業績に傷をつける可能性があると、気を遣ってきたと・・・

現役を引退した超一流の選手ですら、それほどの重圧を受けるのです。
ましてや現役選手の背負うプレッシャーはいかばかりか。

そもそも、女子サッカーの歴史は浅い。ワールドカップといえども男子に比べればまだまだ層も薄く、なによりライバル国が少ないのです。単に希望を与え、世界一になったからと賞を出してもいいものなのか。

例えば、2年前、女子ソフトボールが世界一になった時、どうしたのか?
また、WBCで日本が2回も世界一になった時、どうしたのか?


「なでしこジャパン」
には来年ロンドンで開催されるオリンピックが控えています。
その前に授与することの意味があるのでしょうか?
オリンピックで結果を出した後でも、遅くはないのではないか。

「国民栄誉賞」
というだけあって、当然に副賞などの原資は国民の税金から拠出される。(副賞は必ずではありませんが・・・)ケチなことを言うつもりはないが、本当に首相が顕彰したいのならば、内閣総理大臣顕彰か、もしくは個人的に称えたらいい。

これから先のある選手達が多いので、山あり谷あり挫折や失敗もあるでしょう。
あまり過重な賞は本人達にとっても宜しくない。(と思います)


イチロー選手を見習えとは言いませんが、将来のある「なでしこジャパン」だからこそ、政治利用の臭いがする今回の「国民栄誉賞」は辞退すべきだと思う。

「辞退しろ」ではなく、「辞退して欲しい」という気持ち。
辞退することで、W杯世界一という価値が下がる訳ではない。


向日葵


確かにW杯世界一は、嬉しいニュースである。(私も興奮しました)
だが、果たして手放しで喜んでいいのでしょうか?

ご存知でしょうが、日本人と日本のメディアの飽きっぽさは筋金入りである。
何より、こうした機に乗じるのが得意な人々が必ずいることを忘れてはならない。

来年の今頃、「なでしこジャパン」がどうなっているのか心配です。


 

 

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コメント(1)

おはようございます。
連日の猛暑の中、お仕事お疲れ様です。

さて、今回の国民栄誉賞の件ですが、
全く同感です。

菅直人がここまでひどいとは正直思いませんでした。

本人は気付いているんでしょうかね?

国民栄誉賞をもらったなでしこの皆さんも
実は複雑な気持ちなんじゃないでしょうか?

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