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マスクの下の"善意"2011年01月18日 18:39


寒い日が続きますね。

昨年末から気になる事があります。

皆様、ご存知かとは思いますが、伊達直人?タイガーマスク?運動
(そう言わせていただきます)を知っていますか?

児童養護施設に漫画の主人公や昔のヒーローを名乗った匿名の寄付が日本列島でブーム?
となっています。

世の中には人知れず、一見地味ですが立派な活動をされている方がおられます。
障がい者福祉と児童養護、職種は違いますが同じ社会福祉という業種に携わっている者として、いつも頭が下がる思いです。

一方で世間の意見は様々です。
好意的な印象を持っておられる方、懐疑的な意見を持っておられる方。

「タイガーマスクこと伊達直人」だけに主に寄付を受け取っている児童養護施設の意見は?と言うと、ほとんどのスタッフの方は喜んでおられる様に感じます。
ですが「もちろんありがたい」としながらも、私には色々と複雑な気持ちも見て取れます。
子供たちには「多くの方々に支えられて生活ができている」と教え、寄付者には直接感謝の気持ちを伝えるよう指導している。顔の見える関係こそ、教育の根幹と考えるからだ。だが、漫画の主人公の名前では「お礼の言いようがない」と・・・

今までもこういった事例があったかもしれませんが、ひっそりとマスコミに知れず過ぎ去っていたのでしょう。

もちろんマスコミに取り上げられずとも、長年、寄付や慰問をしてくれる支援者もたくさんいるはずです。って言うか、います。

今回のタイガーマスク運動に素朴な疑問。

何故、匿名なのか?

何故、現物の寄付が多いのか?

寄付や募金は日本中、毎日色々な所で行われています。

しかし集めたお金を、どのような使い方をしているのか分からない。
(イメージがあります)

「受配者指定寄付金制度」を利用すれば、 寄付先や使い道も指定できるそうですが・・・
    間違っていたらゴメンナサイ <(_ _)>

これが現物の寄付になると"使われている"、"役に立っている"、"相手が喜んでいる"感があるのではないでしょうか。それもピンポイントで直接施設に自分で持って行く訳ですから・・・

もしかして本当に児童養護施設の窮状を詳しく知っていて"ランドセル"を送ったのであれば、それはそれで素晴らしい。

この騒動は匿名でカッコつけているというより、日本人独特の謙遜や謙虚さから始まったのではないでしょうか?いや、そうであると思いたいです。

騒動の始まりは、昨年末のクリスマスイブに群馬県の児童養護施設へ匿名(伊達直人)の寄付(ランドセルと手紙が勝手に置いてあった)から一気に日本中に広がりました。

日本中のタイガーマスク運動をされてる皆さんは、一番最初の匿名の寄付をマスコミが騒いで、初めて知った児童養護施設の窮状を見かねて寄付をしたのでしょうか?それとも、「寄付をしたい!」そのような想いが常々ありながら勇気が出なかった人が触発された?匿名なら寄付のハードルが下がった気がするので一念発起!いや、もっと軽い気持ちの人もいるかもしれません。

最初に始めた方は、熱狂的なタイガーマスクファン?それとも児童養護施設で幼少期を過ごした方?そんな事はどうでもいいんです。

しかし根底には児童養護施設だけではなく、現在の福祉行政自体がこのままで良いはずがない、と言う認識をみなさん広く共有されている証拠だと思います。

日本では諸外国のように、実名で寄付をするのがステイタスとはいきません。日本にも堂々と寄付ができる文化があれば良いのですが、どうしても「陰徳の美学」みたいな風潮があります。それとマスコミが寄付者を探し出し、正体を見世物にします。

本当は寄付者ではなく、寄付を受けた人物にフォーカスしないと何も見えてきません。

私などに苦言を呈する資格はないですが、このブームが何かイベント性が出てきているのをチョット心配しています。そして一過性の流行で終わらない事を願うばかりです。
これが長く続き、当たり前になって欲しいのです。

私は良い社会現象である事に変わりはないと思っていますので、それでも次々に登場する「伊達直人」を温かく見守りたいと思います。

タイガーマスク

原作:梶原一騎
作画:辻なおき

タイガーマスク

40年以上も前に流行った漫画及びTVアニメで、故「梶原一騎」氏の作品です。
「巨人の星」「あしたのジョー」等の代表作にあるように、いわゆる「スポ根もの」の先駆者です。

ストーリーは

孤児院「ちびっこハウス」の伊達直人は動物園の虎の檻の前で喧嘩をしたのがきっかけで、悪役レスラー養成機関「虎の穴」にスカウトされる。
虎の穴での殺人トレーニングをこなす日々の中で、自分と同じような生い立ちを持つ孤児たちに、同じような苦しみを味わわせたくないという想いを抱くようになり、「虎の穴」を卒業後、リング名「タイガーマスク」としてトラの覆面を被り悪役レスラーとしてプロレスの世界へ。プロレスデビューを飾ってからは、収入の一部を孤児院へ寄付するようになった。
当初は「虎の穴」へのファイトマネーの半額という上納金は支払った上で、自分の手取り分の範囲内での援助を考えていたが、自分の出身施設である孤児院「ちびっこハウス」の窮状を知り、「虎の穴」へ納める分まで寄付せざるを得なくなる。「虎の穴」はタイガーマスクを裏切り者とみなし、タイガーマスクを倒すための"刺客"を次々と送り込む。同じ裏切り者となるなら、せめて後輩となる「ちびっ子ハウス」の子供たちに恥じない戦いをしたいと、正統派スタイルへ転向。
しかし、虎の穴が次々と送り込んでくる悪役レスラーたちとの死闘の中、反則に反則で応えてしまうこともしばしばあり、「虎の穴」で身についた悪役スタイルと正統派でありたい意識の中で長く葛藤が続く。ようやく「虎の穴」の呪縛から逃れたが、大阪での世界タイトル戦当日、車にひかれそうになった子供をかばって死亡する。最後の力を振り絞って虎の覆面を近くの川へ投げ捨てた為、伊達直人の事故死とタイガーマスクの失踪は結びつけて考えられることはなかった。

と言った、昨今のアニメでは到底ありえないような現実離れしたストーリー展開や不幸の連続で、ハッピーエンドで完結する話はほとんど無く、最後に主人公が悲しく散り去っていくのですが、自己破滅的であり直情型で己の道に突き進み、真白になるまで燃え尽きる結末が、当時の子供たちを狂喜乱舞させた訳です。

タイガーマスクの頃と違って現在の児童養護施設は孤児だけでなく親から虐待された子供たちで溢れているそうです。より手厚いケアや家庭的な養育環境が必要だが、施設基準は何十年も「1人3.3平方メートル以上」「子ども6人に職員1人以上」と変わっていない。
他の先進国の児童施設より劣悪なだけでなく、国内の特別養護老人ホーム(1人10.65平方メートル以上等)と比べても劣ります。
また、経済的な貧困や学習支援の不足もあって大学進学率は約10%(一般は約54%)だそうです。


かつての大家族や地域の絆は消え、今は孤立と無関心が社会を覆っています。公的な福祉サービスがもっと必要だと思うのですが、社会保障費は膨張し続けて、国の借金は前人未到の900兆円を超え、さらに増え続けています。現在の暮らしさえもが断崖へと追い詰められる実感を多くの人々が持ち始めているのではないでしょうか。震災時のボランティア活動などに見られるように、身近な地域や仲間が危機に陥ると自発的に「思いやりの心」・「助け合いの精神」が生まれることがあります。「伊達直人」がその予兆だとしたら、この精神をじっくりじっくり育みたいものです。



 

 

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コメント(1)

地域の絆、地縁、血縁はどこに行ってしまったのやら・・・。
公的な福祉サービスが手薄なら、
インファーマルな形でお世話だけでなく、どんどんお節介しなくちゃですね。
もともと戦後の孤児救済云々から出発した福祉法が
今の世の中にマッチしてるはずないのに・・・。
ま、難しい話は置いといて、兎に角こういった精神(誠心)を
じっくり育みたいものですね!”

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